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2021年5月22日 図書館通信 図書館ニュース初夏号C/J 発行

書架に吹く初夏の疾風/次に進むためのこれが切札
次に読む本は、これで決まりだ

図書館ニュース 中学生版/高校生版 Wで発行中

中学図書館ニュースー「らいぶらりーNEWS初夏号C」
ショート・ショートから短編へ
「5分」経ったそのあとは

手軽に短く、場所も問わずに読み切れるショート・ショート作品。けれども少し物足りなくなってきてませんか? 文章を読むことに馴れたら、少しずつ長めの作品へと踏み出してみよう。奇想天外/どんでん返し/驚き桃の木山椒の木、一編一編様々開かれるワンダーランド! 短編集・アンソロジー集から、もう一歩先に進むための読書案内

「5分後に」シリーズや「星新一」の次に読む
おもしろS(すこし)F(ふしぎ)系作品集

「SFショートストーリー傑作セレクション」〈8冊〉(Y913-エ)汐文社
「百万光年のちょっと先」(913-フ)古橋秀之著 集英社
「笑う宇宙」(913-ナ) 中原涼著 地人書館
「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」(913-サ)三方行成著 早川書房
「にぎやかな未来」(B913-ツ)筒井康隆著 角川文庫
「人間たちの話」(B913-イ)柞刈湯葉著 ハヤカワ文庫
「流れよわが涙と、孔明は言った」(B913-サ)三方行成著 ハヤカワ文庫
「庶務省総務局KISS室政策白書」(B913-ハ)はやせこう著 ハヤカワ文庫
「天使と宇宙船」「未来世界から来た男」(B933-ブ)フレドリック・ブラウン著 創元SF文庫
「ウは宇宙船のウ」(B933-ブ) レイ・ブラッドベリ著 創元SF文庫
「白鹿亭綺譚」(B933-ク)アーサー.C.クラーク著 ハヤカワ文庫
「あなたの人生の物語」(B933-チ)テッド・チャン著 ハヤカワ文庫

戦慄!/驚愕!/爆笑!/感動!
いろいろ短編集

その真相に背筋も凍る
「あなたに似た人」(B933-ダ―1・2) ロアルド・ダール著 ハヤカワ文庫

万能執事に万事おまかせ
「ジーヴズの事件簿」〈2冊〉(B933-ウ)P.G.ウッドハウス著 文春文庫

いかさま師をやっつけろ
「悪党どものお楽しみ」(B933-ワ) パーシヴァル・ワイルド著 ちくま文庫

日常は謎に囲まれている
「休日はコーヒーショップで謎解きを」(B933-ロ)ロバート・ロプレスティ著 創元推理文庫

迷事件には迷探偵を
「ルーフォック・オルメスの冒険」(B953-カ)カミ著 創元推理文庫

幻想・怪奇・恐怖の祭典
「ポー短編集」〈3冊〉 (B933-ポ-1~3)ポー著    新潮文庫

やさしさが救うもの
「心の鏡」(B933-キ)ダニエル・キイス著 ハヤカワ文庫

イタリア幻想ユーモア
「猫とともに去りぬ」(B973-ロ)ロダーリ著 光文社古典新訳文庫

あの執事が帰ってきた
「新 謎解きはディナーのあとで」(913-ヒ-1)東川篤哉著 小学館

芸術が繋ぐ人々の想い
「博物館惑星」シリーズ〈3冊〉(B913-スー1~3)菅浩江著 ハヤカワ文庫

事件のカギは動物が握る
「警視庁いきもの係」シリーズ〈5冊〉(913-オ―1~5)大倉崇裕著 講談社

記憶喪失探偵の名推理
「掟上今日子」シリーズ〈13冊〉(913-ニ―1~13)西尾維新著 講談社

戦国決戦、武将の選択
決戦!」シリーズ〈11冊〉(913-ケ)講談社

文学を『短編』からはじめよう

名立たる文豪たちの多くは短編もたくさん書いています。
まずは短編集や代表作の集まった作品集を手に、豊かな文学世界に踏み出そう。
日本文学
「羅生門・鼻」(B913-ア)芥川龍之介著 新潮文庫
「お伽草紙」(B913-ダ)太宰治著 新潮文庫
「小僧の神様」(B913-シ)志賀直哉著 新潮文庫
「倫敦塔・幻影の盾」(B913-ナ)夏目漱石著 新潮文庫
「冥途」(B913-ウ)内田百閒著 ちくま文庫
「檸檬」(B913-カ)梶井基次郎著 新潮文庫
「ちくま日本文学」〈40冊〉(B918-チ―1~40)ちくま文庫
「文豪ノ怪談ジュニア・セレクション」〈8冊〉(Y908―ブ)汐文社

海外文学
「世界ショートセレクション」シリーズ 〈18冊〉(Y908―セ-1~18)理論社
「世界名作ショートストーリー」〈5冊〉(908-セ―1~5)理論社
「よりぬきマザーグース」(YB931ーヨ)岩波少年文庫
「鏡のなかの鏡―迷宮」(B943-エ)エンデ著 岩波現代文庫
「CARVER’S DOZEN」(B933-カ) レイモンド・カーヴァー著 中公文庫
今月の名言
「芸術も人生と同じく、深く入りこめば入りこむほど、広くなるものである」(ゲーテ「格言集」より)

高校図書館ニュース-「らいぶらりーNEWS初夏号J」
生誕94年 いま、吉村昭を読む

5/1は作家、吉村昭の誕生日。今年で生誕94年となる。その日の天気すらも調べる緻密で綿密な取材によって裏打ちされた史実をもとに、感情を抑えた静かで精緻な筆致が、歴史の瞬間に直面した人間の姿を克明に描き出す。歴史は一握りの英雄によってつくられるのではない。その時代の普通の人々が何を見、動いたか。混迷深める時代にこそ、歴史そのままから知り、学び、深められることがある。いま、吉村昭の眼が必要だ。
※紹介されている本の請求記号はすべて(B913-ヨ)です。

吉村昭を読むならまずはこの3冊

「戦艦武蔵」新潮文庫
 この国が戦争へとひた走る中、民間造船所ではじまった世界に類を見ない超巨大戦艦の建造。そびえる幾多の苦難を前に、多くの情熱が傾けられていく。しかしその熱とは裏腹に、世界最大の戦艦は何ら戦局に影響を与えられぬまま、あっけなく沈んでしまった。戦争へとひたすらに向かったこの国の熱狂を戦艦建造を通して描き出し、戦争がもたらす虚しさまでもあらわにする。記録文学の金字塔。
 膨大な取材メモで振り返る創作ノート「戦艦武蔵ノート」(岩波現代文庫)もあわせて。

「羆嵐」新潮文庫
 雪深い村を襲った一匹の羆(ひぐま)。いつ現れるとも知れぬ大自然そのものの脅威に、人間は成す術もない。ただ恐怖に打ち震える村人たち、すべては一人の老猟師に託された。史上最大の獣害事件とされる三毛別羆事件を、大自然の中に生きざるを得ない人々の過酷な生活と共に克明に描き出す。 

「破獄」新潮文庫
 厳重な警備をものともせず、どんな状況であろう忽然と牢からその姿を消し、幾度となく脱獄を繰り返す一人の男。彼が収監される先では刑務官の方がその男を恐れていた。人の心の間隙までも突き、牢獄破りを繰り返す監獄内真の主。彼を脱獄へと駆り立てるものとはなんなのか? 不屈の精神を互いにぶつける超極限の心理戦、人と人のむき出しの生が対峙する対決の行く末は。昭和の脱獄王の真実。
 ※ちなみに某人気北海道黄金争奪マンガに登場する某愛されキャラのモデルとされています。

災害と生きねばならぬこの国で、その記憶を語り継ぐこと

「三陸海岸大津波」文春文庫
「関東大震災」文春文庫
 日本は古来より災害と共に生きてきた。東北三陸沖で伝えられてきた『海の壁』の伝承。繰り返される地震や津波の話は人々の暮らしに根差し伝えられ、それと共に生活することがこの土地で生きるということだった。そして大災害はどこであろうと襲い来る。首都圏を襲った未曽有の大地震は都市を壊滅させただけでなく、人心を混乱させ恐怖が恐怖を生み、狂乱の中で人々を虐殺へと向かわせた。過去からの声を未来に生かすために、継承されてきた記憶を、記録として残していく。

戦史が暴き出す日本と日本人

この国はあの時と変われたのか? かつての過った時代との既視感ばかりが濃くなる昨今。再び、あの過ちを繰り返さないために。戦争へと向かった時代の証言者たちの声に耳を傾け、これからの日本と日本人を考える。

硬直した組織がもたらす人命軽視の事故の系譜
「空白の戦記」新潮文庫
「陸奥爆沈」新潮文庫

情報軽視と思い込み、それを教訓にできないこの国の消えない病理
「海軍乙事件」文春文庫
「大本営が震えた日」新潮文庫

消された戦争犯罪、日本の生物兵器開発秘史
「蚤と爆弾」文春文庫

牛が運んだ最速の飛行機、この国を背負わされた翼の生涯
「零式戦闘機」新潮文庫

誰にも知られぬ潜水艦の最期、深き海の底より響く声
「深海の使者」文春文庫
「総員起シ」文春文庫

私的二選

「冬の鷹」新潮文庫
 頼るものなど何もなく始められた西洋医学書の翻訳。その訳業には翻訳の正しさだけを追い求めたが故に、ついに名が記されなかった真の翻訳者、前野良沢と、その出版に奔走したことで画期的偉業の名声をほしいままにした杉田玄白の対照的な道をたどった二人の男たちの交錯があった。日本に近代科学の光を照らした「解体新書」、この国の近代医学の夜明けが語られる。

「海の祭礼」文春文庫
 鎖国令が続く日本で、北海道のある島に小さな船が流れ着く。単身、アメリカより憧れの国・日本へと渡ってきた男はすぐさま捕まり、遠く長崎の地へと送られる。英語を話せる者のいない当時の日本、しかしそこで、彼の言葉に耳を傾ける一人の通詞がいた。日米開国交渉の裏側には日本で英語を教え、英語を教わった異なる国の人間たちの言葉にできない友情があった。江戸の通訳事情も知れる日米開国秘話。

旅情と詩情豊かなエッセイ

「事物はじまりの物語/旅行鞄のなか」ちくま文庫
「お医者さん・患者さん」中公文庫
 綿密な調査のさなかでふと見付けた様々なものごとのはじめての記録のこと。各地を取材で飛び回る中で感じた歴史の息づくその土地の風土や気質のこと。若い時の大病がその後のものの考え方をつくったと振り返る自身が思う医療に対してのこと。作家の人となりを感じる素朴で温かなエッセイ。
ほかにも
「桜田門外ノ変」「長英逃亡」「生麦事件」「ニコライ遭難」「海の史劇」などの歴史の重大事件を克明に追った作品。
「雪の花」「ふぉん・しいほるとの娘」「白い航跡」「虹の翼」「間宮林蔵」などの知られざる偉人たちの生涯を描いた作品。
「漂流」「高熱隧道」「闇を裂く道」などの極限状況下での人間を描いた作品。
「星への旅」「透明標本」などの独自の人間観察が光る歴史小説以外の文芸作品もあります。
手に取りやすい文庫がほとんどなので、興味を抱いたらほかの作品も是非。
 今月の名言
「人間、いつまでも生きているわけではない。生きている間、互いにほのぼのとした気分になるよう心がけたいと、自省の念を込めて自らに言い聞かせている」
(吉村昭著「旅行鞄のなか」より)
現在図書室は短縮授業を受け、通常とは開室時間が異なっています。
最新の開室・利用時間は入口及び各棟図書室掲示板の図書室開室カレンダーを見て確認してください。
ものごと何もかもすべてを得えようとすることは不可能だ。

選択すること、決断すること、それを繰り返すことが人生だ。
人の仕事の8割は決断だ、といわれる。

選択肢は可能性、しかしその一つを決断し選び取らなくては何も進まない/変わらない/何の意味もなさない。

自らの求めるもの/望むものをきちんと選択し、進むために、
積み重ねられた過去の知から、知恵と勇気を、これからのために身につけていこう。